できないこと、からはじめる。
最初に説明を受けて、次は、一人一人順番に実技をしていく。
そのうち、自分の出番がやってくる。
はじめてとは思えない、綺麗なフォームとラテアートが描きあがって、
講師も驚き、他の参加者からも歓声が沸き起こって、誇らしい気分。
…。
実際にはそうはならない、
誰よりも緊張して、何をやっているか分からず、出来上がったのは液体の溢れたぐしゃぐしゃのカプチーノ。
自分の出来なさ加減に、涙が出そうになる。なんでなんだろうと、肩をガックシ落とす。
それと同時に思い出す、
あぁ、そういえば、自分は不器用だったのだと。
同時に複数のことをこなせないし、頭の回転も悪い。
体も人と同じ動作を出来ず、頭でっかちになってしまう。
時々忘れそうになり、また思い出し、
「あぁ、そうだよな」と開き直る。
自分に残された道は、人の倍やるしかないのだと。
たくさん恥をかいて、絶望しながら続けて、続けて、
とにかく出来なくても、文句も言わず、そこに居続ける。(しかない)
不器用でよかった、
と強がりながら、低い自己評価と勇気を携えていくしかない。